2階にあるトイレを「ユニットバス」にしようと父が言いだしたのはもう3カ月前のこと。父がそう言いだしたとき、家族はみんなきょとんとする。風呂なら1階にあるし、それよりもなによりも、ユニットバスに関してみんなあまりいいイメージを持っていなかったからだ。一人暮らしのアパートならいざ知らず、なにもトイレに風呂を一つにする必要がどこにある、衛生面からも使い勝手からも、もちろんわざわざそんな無駄なリフォームをすることでの金銭的な負担からも、家族中が猛反対。父は「2階に風呂があると便利だろ」と言うけれど…。
なんだかんだで、父は意見を曲げず、我が家の二階にユニットバスができました。便利もなにも、みんなして1階のもとある風呂に入るわけで、リフォームの効果一切なし。2階の例のトイレに行くも、どこか落ち着かない気持ちが出てくるばかり。まったく、と家族一同呆れていたわけです。
しかし、祖母が足を悪くし、2階の寝室からあまり外へ出られないようになると話は一変。二階に風呂があることで、祖母自身風呂に入りやすいという状況が生まれたわけです。また、母曰く、トイレとお風呂がつながっていると、介護の面から助かるとのこと。状況の細かい様子は推して知るべしだが、なるほどユニットバスの使い方は何も狭い間取りの有効活用だけではないようだ。父がそこまで考えてリフォームをしたのかは大いに疑わしいけれど、結果家族の役に立っているのは事実。惜しむらくは2階につくってしまったこと。できれば1階に作って、祖母の部屋も1階に移していたら、祖母を交えて変わらず家族みんなで食卓を囲めたことだろう。